退職届をいざ書こうとすると、「どの項目を書けばいいの?」「手書きとパソコンどちらが正解?」と迷う方は少なくありません。この記事では、退職届に記載すべき7つの項目を一つずつ丁寧に解説し、手書き・縦書きとパソコン・横書きの両方の例文を掲載しています。無料テンプレートの入手先やよくある失敗例まで網羅しているので、この記事を読み終えるころには迷いなく退職届を完成させられるはずです。

この記事でわかること
  • 退職届に書くべき7つの項目と正しい書き方
  • 手書き(縦書き)・パソコン(横書き)それぞれの完全な例文
  • 退職届と退職願の文面の決定的な違い
  • 用紙・筆記具・押印のマナー
  • 無料テンプレート(Word・PDF・Excel)の入手先
  • ケース別の退職理由の書き方
  • よくある書き間違いと提出までのチェックリスト

退職届に書くべき7つの項目

退職届の記載項目は、会社ごとに多少の差はあるものの、基本となる7つの項目はほぼ共通しています。まずは全体像を把握しましょう。

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項目内容記載位置(縦書きの場合)
1. タイトル「退職届」と記載用紙の中央上部
2. 書き出し「私儀(わたくしぎ)」タイトルの次の行、行末(下寄せ)
3. 退職理由「一身上の都合により」が基本本文冒頭
4. 退職日上司と合意した日付本文中
5. 提出日退職届を提出する日本文の後
6. 所属・氏名・押印正式な部署名とフルネーム+認印提出日の下
7. 宛名会社の最高責任者(代表取締役社長)名最後(縦書きでは最上位)

1. タイトル:「退職届」

用紙の最初に「退職届」と書きます。「退職届」と「退職願」は異なる書類ですので、間違えないように注意してください。退職届は「退職を届け出る(通告する)書類」であり、いったん受理されると撤回が困難です。

2. 書き出し:「私儀」

「私儀(わたくしぎ)」は、「私事ではございますが」という意味のかしこまった表現です。縦書きの場合は行の下端(末尾寄せ)に、横書きの場合は行の右端に小さく記載するのがマナーとされています。ビジネス文書で自分のことを切り出す際の定型表現ですので、そのまま使ってください。

3. 退職理由:「一身上の都合により」

自己都合退職の場合、理由は「一身上の都合により」の一言で十分です。具体的な退職理由(転職先の情報、人間関係の不満など)を書く必要はありません。会社都合の場合は書き方が異なりますが、それは後ほど詳しく解説します。

4. 退職日

退職日は、上司と相談して確定した日付を「令和○年○月○日をもって」という形で記載します。西暦でも構いませんが、他の日付表記と統一しましょう。法律上、期間の定めのない雇用の場合は退職の意思表示から2週間で退職が成立しますが(民法627条1項)、就業規則で「1ヶ月前まで」などと定めている企業が多いため、事前の確認が重要です。

5. 提出日

実際に退職届を提出する日を記載します。退職日よりも前の日付になるのが当然ですが、うっかり退職日より後の日付を書いてしまうミスがあるので気をつけてください。

6. 所属・氏名・押印

正式な部署名(「第1営業部」など略さない)とフルネームを記載し、名前の下(横書きの場合は名前の横)に押印します。押印は認印(三文判)を使用し、シャチハタ(インク浸透印)は使えません。パソコンで作成した場合も、署名と押印は必ず手書き・手押しにするのが基本です。

7. 宛名:代表取締役社長

宛名は直属の上司ではなく、会社の最高責任者(通常は代表取締役社長)の氏名を記載します。敬称は「殿」または「様」を使います。「○○株式会社 代表取締役社長 △△ △△ 殿」という書き方が一般的です。

【例文】手書き・縦書きの退職届の書き方

手書き・縦書きは、最も伝統的でフォーマルな退職届のスタイルです。格式を重んじる企業や、特に指定がない場合におすすめです。

手書き・縦書き退職届の例文

以下が退職届の標準的な例文です。縦書きの場合、右から左へ読む方向で書いてください。

退職届

私儀

このたび一身上の都合により 令和八年三月三十一日を
もって退職いたします

令和八年二月十九日

○○株式会社
○○部○○課
退職太郎 ㊞

○○株式会社
代表取締役社長 ○○ ○○ 殿

手書き・縦書きの書き方ポイント

ポイント詳細
「私儀」の位置行の下端(末尾)に寄せて書く
「退職いたします」退職届の場合はこの語尾。退職願なら「お願い申し上げます」
日付の表記漢数字で書くのが正式(「二月十九日」など)
自分の名前の位置宛名(社長名)よりも下に書く
押印名前の最後の文字のすぐ下に押す

手書きで作成する場合は、下書きを鉛筆で薄く書いてからボールペンでなぞり、乾いた後に消しゴムで下書きを消す方法もあります。ただし、消しゴムの跡が残ることもあるため、別の用紙で練習してから本番を書くのが確実です。

【例文】パソコン・横書きの退職届の書き方

近年はパソコンで作成する退職届も一般的になっています。特にIT企業やスタートアップなど、効率性を重視する職場では「パソコンで構わない」とするところが増えています。

パソコン・横書き退職届の例文

退職届

令和8年2月19日

○○株式会社
代表取締役社長 ○○ ○○ 殿

○○部○○課
退職太郎 ㊞

 私儀、このたび一身上の都合により、令和8年3月31日をもって
退職いたします。

以上

パソコン作成時のフォントとレイアウト設定

設定項目推奨値
フォント明朝体(MS明朝、游明朝など)
フォントサイズ本文:10.5pt〜12pt、タイトル:14pt〜16pt
用紙サイズA4またはB5
余白上下左右25mm〜30mm
行間1.5行〜2行
文字方向横書き

署名は必ず手書きにする

パソコンで本文を作成した場合でも、氏名の署名と押印は手書き・手押しにするのが原則です。理由は以下の3つです。

  1. 本人確認の機能:手書きの署名は本人が作成した証拠になります
  2. ビジネスマナー上の慣習:署名を印字するのは「手抜き」と受け取られる可能性があります
  3. 法的な信頼性:万が一のトラブル時、手書き署名がある方が証拠力が高まります

印刷した退職届の署名欄を空白にしておき、提出前に黒のボールペンまたは万年筆で署名し、認印を押してください。


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