成長投資枠を活用する際の4つの注意点
成長投資枠を使いこなすために、知っておくべき注意点を4つ解説します。
成長投資枠の年間投資上限は240万円です。1月から12月までの暦年単位でカウントされ、未使用分を翌年に繰り越すことはできません。たとえば、2026年に100万円しか使わなかった場合、残りの140万円を2027年に上乗せして380万円投資する、ということはできません。計画的に投資枠を使いましょう。
NISA口座で損失が出た場合、課税口座(特定口座・一般口座)の利益と損益通算することはできません。また、損失の繰越控除(3年間の繰越)もできません。たとえば、NISA口座で50万円の損失が出て、課税口座で50万円の利益が出た場合、通常であれば損益通算で課税口座の税金がゼロになりますが、NISA口座の損失は「なかったもの」として扱われるため、課税口座の利益50万円には通常どおり約10万円の税金がかかります。個別株投資など損失リスクのある投資をNISAで行う場合は、この点を十分に理解しておきましょう。
成長投資枠は年間240万円の上限があるため、頻繁に売買を繰り返すと、あっという間に枠を使い切ってしまいます。また、売却しても枠が復活するのは翌年です。NISAの最大のメリットは「非課税期間が無期限」であることです。長期保有を前提として銘柄を選び、短期的な値動きに一喜一憂しない投資姿勢が大切です。
米国株など海外株式の配当金には、現地の税金がかかります。たとえば米国株の場合、配当金に対して10%の米国源泉税が差し引かれます。NISAで非課税になるのは日本国内の税金(20.315%)のみで、米国の10%は非課税にはなりません。通常の課税口座であれば「外国税額控除」によって米国で課された税金を取り戻すことができますが、NISA口座では外国税額控除の適用がありません。米国株・米国ETFへの投資を検討している方は、この二重課税の問題を理解しておく必要があります。
配当金を非課税で受け取るための設定方法
成長投資枠で株式やETFを保有して配当金・分配金を受け取る場合、非課税の恩恵を受けるためには配当金の受取方式の設定が非常に重要です。設定を間違えると、NISA口座で保有しているにもかかわらず配当金に課税されてしまいます。
必須設定:「株式数比例配分方式」を選ぶ
配当金の受取方式には主に以下の4種類がありますが、NISAで非課税にするためには必ず「株式数比例配分方式」を選択してください。
| 受取方式 | 概要 | NISAで非課税 |
|---|---|---|
| 株式数比例配分方式 | 証券口座で受け取る | 非課税になる |
| 登録配当金受領口座方式 | 指定の銀行口座で受け取る | 課税される |
| 個別銘柄指定方式 | 銘柄ごとに指定口座で受け取る | 課税される |
| 配当金領収証方式 | 郵便局窓口で受け取る | 課税される |
「株式数比例配分方式」以外を選んでいると、NISA口座で保有している株式の配当金にも20.315%の税金がかかります。これは非常にもったいないミスです。
設定の確認・変更方法
設定は各証券会社のマイページから変更できます。一般的な手順は以下のとおりです。
- 証券会社のマイページにログイン
- 「口座設定」または「配当金受領サービス」のメニューを開く
- 「株式数比例配分方式」を選択して保存
なお、この設定は証券口座全体に適用されます。NISA口座だけでなく、特定口座・一般口座の配当金もすべて証券口座での受け取りに変更されるため、銀行口座で直接受け取りたい方はご注意ください。
投資信託の分配金については、受取方式に関係なく自動的に非課税が適用されるため、特別な設定は不要です。この設定が必要なのは、株式(個別株)とETFの配当金・分配金のみです。
成長投資枠のよくある質問Q&A
はい、同時に使えます。新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。年間最大360万円(つみたて120万円+成長240万円)まで非課税で投資可能です。
はい、できます。成長投資枠は一括投資だけでなく、積立投資にも対応しています。つみたて投資枠と同じように、毎月定額の積立設定が可能です。実際に、成長投資枠で投資信託の積立をしている投資家は非常に多くいます。
売却した場合、枠が復活するのは翌年です。同じ年の中で枠が復活することはありません。また、復活するのは売却額ではなく「取得価額」(購入時の金額)分です。
NISA口座は1人1口座しか開設できません。成長投資枠を活用するなら、以下の点で証券会社を比較するとよいでしょう。
- 取扱銘柄数:個別株や海外ETFの品揃え
- 売買手数料:NISA口座での取引手数料が無料かどうか
- ポイント還元:投資信託の保有でポイントがもらえるか
- 使いやすさ:アプリやWebサイトの操作性
2026年2月時点では、SBI証券と楽天証券がNISA口座の取引手数料無料を打ち出しており、取扱銘柄数・サービスの充実度の面でも高い評価を得ています。
無理に使い切る必要はありません。年間240万円は上限であって、目標ではありません。自分の収入や生活費を踏まえて、無理のない範囲で投資することが最も大切です。余裕資金がないのに枠を埋めようとして、生活資金を投資に回すことは絶対に避けましょう。
NTT(日本電信電話)は2023年7月に1株を25株に株式分割しており、1株あたり約150円前後で購入できます。少額から投資できること、配当利回りが約3.4%と高めであること、通信インフラという安定したビジネスモデルを持つことから、NISA初心者にも人気の銘柄となっています。
まとめ|成長投資枠を使いこなして資産形成を加速させる
- 成長投資枠は年間240万円・非課税保有限度額1,200万円の投資枠で、上場株式・投資信託・ETF・REITなど幅広い商品に投資できる
- 「成長投資枠=ハイリスク」は誤解。インデックスファンドの積立など、ローリスクな活用も可能
- つみたて投資枠との最大の違いは「対象商品の幅広さ」と「一括投資が可能」な点
- 4つの活用パターン:つみたて枠の上乗せ、高配当株投資、個別株投資、ハイブリッド型
- 1,800万円の配分は、投資経験と年収に応じて「つみたて枠のみ」から「成長枠フル活用」まで柔軟に設計する
- 配当金を非課税で受け取るには、「株式数比例配分方式」の設定が必須
- 損益通算ができない点、海外株式の現地課税がかかる点には要注意
- 短期売買ではなく、長期保有を前提とした投資が成長投資枠を活かす鍵
